作家インタビュー:荘司 久寿

増殖していく布や端切れ。ビビットカラーのイラストで埋め尽くされた紙箱。ポップなカラーリングを施された熊と鮭の民芸品。そして様々な塗料を塗りたくられたカエルのぬいぐるみ。表現の媒体にとらわれることなく自分の好きなスタイルで制作を続けているのは由利本荘市のNPO法人逢いの荘司 久寿さんだ。

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どの作品もかたちも素材も違うのに、どこか「荘司さんっぽさ」を感じるからおもしろい。作品のビジュアルの情報から荘司さんの事を知ったわたしは、ずっとどんな人なのか気になっていた。今回、実際に制作しているアトリエを覗かせてもらう機会を得たことは本当に嬉しかった。アトリエにはいると、何やら手にゴム手袋をした人が、塗料で青色になったぬいぐるみを手の上で何度も揉んでいる。一見塗料でベトベトになっているようにみえたが、実際はかなり乾いていて、半乾きの塗料とぬいぐるみを手の上で「ミチミチッ」「プチプチッ」という塗料とゴム手袋の表面からでる音と共にこねくりまわしている。このぬいぐるみの作品をみるのは初めてだったが、わたしは直感的に「荘司さんだ!」と思った。

_DSC1876s「なにをつくっているんですか?」と聞いてみると、「青いカエルです。素敵なカエルなんです。」と荘司さんは教えてくれた。しばらく制作してる様子を眺めていると、荘司さんがもっている独特な感覚で制作をしているのが伝わってくる。まず手の感触でなにかを確かめるようにいろんな角度から揉んで、時々、何か閃いたように絵の具を少し足して、また揉む。足すのは絵の具だけじゃなくてボンドなんかも混ぜ込んでいる。それは荘司さんにしかわからないさじ加減だが、「触覚」というセンサーをフル活用しながらこの作品を制作しているのはなんとなくわかった。

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時には目を瞑ってぬいぐるみを揉みながら何かを探る荘司さん。

 

主に「視覚」でしか自分の作品を考えたことがなかったわたしには、その制作する姿勢はとても斬新だ。荘司さんはもしかしたら「触覚」「視覚」だけじゃなくて「嗅覚」や「聴覚」なんかもフル動員しているのかもしれない。その行為の意味や必然性は荘司さんの中にあればいいとおもうし、わざわざ説明する必要も無いとおもう。ただその行為の痕跡の集合体として、きれいなカエルの造形物ができるのだから、荘司さんは素晴らしい感性の作家だ。

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アトリエ内にある荘司さんの作品置き場をみていると、子供の頃、大好きなおもちゃを詰め込んだ自分のおもちゃ箱を思い出した。「僕のすきなもの」という想いがひしひしと伝わってくる荘司さんの作品コレクションはこれからも楽しげに増えていくのだとおもう。アトリエの時間が終わると荘司さんはテキパキと片付けをして、支援員の人と挨拶をし、わたしにも両手を掲げハイタッチをして、「じゃーまたな!!」と颯爽と去っていった。是非またお会いして増えているであろう荘司さんコレクションをみてみたい。

ポコラート アキタ 丸山数理

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