作家インタビュー 大川 浩児

今回ご紹介するのは、秋田市にある「とうふ屋丸木橋六兵衛」で働きながら制作しているアーティストの大川浩児さん。クレヨン、マーカー、クーピー、色鉛筆などで作品を制作している。やはり実際に制作現場を覗かせてもらうと、いろいろと新しい発見がある。

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さて大川さんの制作について、表のフルーツや野菜などが描かれている側の制作がどんどん進んでいく。モチーフとなるフルーツが迷いなく描かれると、背景の色面もクーピーの腹の部分でサクサクと塗られていく。ものの4分から5分くらいで表側の制作は終了し、大川さんは紙をひっくり返して制作は裏側に移る。大川さんの作品には、ほぼ必ずといっていいほど裏側になんらかの文字情報が記されている。それは作品のタイトルだったり、自分の名前だったり、その日の日付や、天候などだったりするのだが、その描き方もとても個性的でまるで暗号の様でわたしはすごく気になっていた。
大川さんは時折、目を瞑ったり、画面をじっと見つめたりしながら手を動かしていく。横で見ていても、大川さんが自身の感覚を研ぎ澄ませているのが伝わってくる。というか表側より時間をかけて描いていたりするのがまた面白い。大川さんからしてみればどちらも大切な作品の要素なのだ。
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でもよくよく考えてみれば、絵のある表側がメインで裏側がサブというのはわたしがもっていた、ただの既成概念にすぎないのだと気づかされる。「表も裏も両方メイン」という方が作り手の視点としては、なんだか意識が高くて格好いいじゃないか。こういう自分の持つ既成概念を変えてくれる作家との出会いは本当に貴重なことだ。気づいてしまえば簡単なことだけれど、気づかなければそのまま何十年も過ぎてしまったりすると思うと、それはそれでちょっと怖くもなる。

大切なことを気づかせてくれて、ありがとう。大川さん。

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一枚の作品が完成すると大川さんは「紙ください。」と新しい紙をもらってまた制作を続ける。表も裏もきっちり仕上げて、次の作品に移る様子を見ていると、それは自分のスタイルを確立しながら新しい模索を続けるアーティストだ。大川さんの日々貯まっていく作品のストックのファイルを見ていると、これが最終的に何枚になるんだろうとドキドキしてくる。継続していくライフワークの中でまた何かをわたしに気づかせてくれるだろうか。是非またお会いして新たに日々貯まっていった作品を見せてもらいたい。

ポコラート アキタ 丸山数理

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