作家インタビュー:齋藤 努

今回ご紹介するのは、秋田県由利本荘市にあるNPO法人逢いのアーティスト齋藤 努さん。齋藤さんはクレヨン、ポスカを使って、色彩豊かな作品をつくっている。建物の写真や風景の写真を見ながら制作を進めていくのだが、出来上がる作品は、写真を見ながら描いた絵とは感じさせない。そこから感じるのはカラフルでパワフルな「齋藤 努ワールド」そのものだ。齋藤さんが制作しているのを間近で観察していると、色の選択や色を塗る際に一切迷いが無い。また画面の端から丁寧にしかも素早く色を塗って作業を進めていくので画面の端から絵が仕上がっていく。まるでインクジェットのプリンターのようだ。その小気味いい様子を近くで見ているだけでもなんとも楽しい気持ちになる。一見ランダムに色を選んで塗っていくのかと思えば、決まったパターンのような色の繰り返しがはじまる。どこでそういう切り替えを判断しているのか他人にはまるでわからないが、齋藤さんは相変わらず迷いを感じさせない。筆を休めて離れて画面を見て悩んだりもしない。ただ淡々と画面を見ながら手を動かしていく。もしかしたら一瞬のうちに迷って一瞬のうちに答えをだしているのかもしれない。本当のところは齋藤さん本人にしかわからないが、わたしに齋藤さんと同じことができないことだけは確かだ。
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齋藤さんの作品をみていると本当に色彩が鮮やかでみているものを楽しくさせる。きっと齋藤さん自身も明るい人なのだろうなと勝手に思う。齋藤さんにいくつか質問をしてみた。「好きな色とかはありますか?」と聞いてみたところ、ぴたりと手を止めしばらく考えたあとに、「忘れた!」と。そしてまた手を動かしていく。きっとでてきた言葉通りなのだ。もう一つ質問をする。「齋藤さんの好きなことはなんですか?」すると「絵を描くこと!」と間髪いれずに返ってきた。
saitouculmn02今思えば齋藤さんの答えは齋藤さんの作品からもうすでに発せられていた。作品を通して「ヤボなこと聞かないでよ。僕の絵をみたらわかるでしょう?」と発せられた気がする。言葉によるコミュニケーションと作品によるコミュニケーション。齋藤さんは後者のほうがずっと得意な人なのだと思う。学生時代、大学の先生に作家として自分の作品を言語化して人に伝えることの重要性を何度も言われたし、疑問も持たなかった。今でもそれが間違っているとは思わない。ただ齋藤さんと齋藤さんの作品を見ていると、言語に頼らず作品だけで作家の内面を誰かに伝えられるということがとても力強く魅力的にみえる。アーティストとして本当に大切なものとはなんだろう?とか仰々しく考え込んでしまう自分がいる。もうその時点で「齋藤 努ワールド」の影響をうけてしまっているのだ。saitouculmn01齋藤さんはこれからも淡々と色鮮やかに作品を創っていくのだろう。自分の好きなものに真正面から取り組み、作品を通していろいろなことを教えてくれる。来年は壁画制作に取り組む予定もあるそうだ。屋外での展示に耐えうる素材を支援員の方と相談しながら取り組むとの話だった。齋藤さんがクレヨン、ポスカともまた違う素材で壁画という今までとは違った表現をするのだと思うと、聞いているだけでわくわくしてくる。来年、是非完成した作品を見にいってみたい。

 

ポコラート アキタ 丸山数理

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